初めて公開されたヘルストロン
M債のケースを思い出してほしい。
Mは日本格付研究所という国内格付け会社のみに格付けを依頼して取得していた。
その格付けはよいというものだった。
一方、同じMの長期債務に対して、MやSの外国格付け会社は、それぞれBa3、BBと投機級の格付けを「勝手格付け」(格付け会社が債券発行企業からの依頼に基づくことなく、財務データなどに基づいて勝手に行う格付け)という形で公表していた。
大切なことは、1社のみの格付けを鵜呑みにしてはいけないということである。
少なくとも2社以上の格付け、とくにMやSなど米国格付け会社の格付けを確認することが必要だろう。
私の見解では、外国の格付け会社が投機級の格付けを施しているときには、安全性を重視する個人は、その社債の購入を避けた方がよいと思われる。
マイカル債の事例は、社債が個人向けに発行されたため、多くの消費者が被害を受けた。
この事件の教訓は、社債は決して安全な投資対象ではない、ということだ。
社債発行企業が東証一部上場企業であろうがなかろうが、信用力を今一度格付けで確認することが必要だろう。
格付け会社の格付けを全面的に信用することには危険も伴うが、自己防衛のためには少なくともやっておくべきことである。
単純な普通社債ならば、一つの手段として格付けを調べることによって社債の信用力やリスクを確認することはできる。
しかし、すでに見たように、金融自由化はさまざまな債券を金融市場に送り出してしまった。
一般の普通社債よりは高い表面利率、たとえば5%ないしは6%というような利率が提示されている「EB(他社株転換社債)」のような商品だ。
EBとは、発行体とは異なる企業の株式のブットーオプション(株式を売る権利)の売りが組み込まれている債券で、債券償還時の株価水準によって現金償還か株式での償還かが決まる特約が付いている。
少数の投資家向けという私募形式で発行されるケースが圧倒的に多いため正確な発行額は把握できないが、1990年代後半から2000年代初頭にかけて年間22兆円程度発行され、最近でも1兆円以上は発行されている模様である。
普通社債であれば、発行体が倒産しない限り元本が額面で償還されるが、EBは発行体が倒産しなくとも、株式で償還された場合、償還金は投資元本を下回ってしまう。
発行体の経営悪化や倒産などにより、元本や利息の償還・支払いに支障が起こり、損失が発生する。
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